起たたない御曹司君の恋人は魔女
結沙は仕方なく結人と紗良の寝室へやって来た。
「ん? 結沙、今日はここで寝るのか? 」
先にベッドの入っていた結人が言った。
「うん。彼女が熱出して、母さんが看ているって言うから」
「そうか。彼女はどこの人なんだ? 」
「同じ営業部に派遣社員として来たんだ。今日入ったばかりだよ」
「今日? それで、初日から付き合う事になったのか? 」
「まぁ、色々あったけど」
結沙はベッドに入り横になった。
「結沙、社内恋愛だと周りがうるさいかもしれないぞ」
「うん、別いいけど。部長に手を出されるよりは、マシだし」
「営業部長か? 」
「うん、父さんも知っているでしょう? あの人の女癖の悪さ」
「ああ」
「さっそく、手を出そうとしていたから止めたんだけど」
「そうか。ま、お前が本気で恋したなら父さんは嬉しいから」
結沙はフーッと一息ついた。
「父さんは、母さんに本気で恋したの? 」
「当り前じゃないか。そんな事」
「そうだよね。でもさ・・・」
チラッと結人を見て、結沙は何か言いたげな目をした。
「なんだ? どうしたんだ? 」
「うん・・・」
どうしようか・・・聞いてみようかな? ・・・
ちょっとモジモジしている結沙を見て、結人はフッと笑った。
「なんだ? もしかして、彼女を抱きたいって思ったのか? 」
「ち・違う・・・。いや、そうだけど・・・。あのさ、父さんは。母さんと・・・その・・・すぐにできたの? ・・・アレ・・・」
結沙はちょっと赤くなった。
「何を言い出すか思えば。そんな事、当り前じゃないか。愛している人なんだから」
「そっか・・・。父さんは、母さんと付き合う前は誰かと付き合ってた? 」
「まぁ、付き合っていたが。本気の恋じゃなかったな。何となく付き合っていて。紗良と出会って、本気の恋をしたから」
「え? じゃあ、母さん以外の人とはシテないの? 」
え? っと、結人は驚いた。
「俺は・・・ずっと、女の人に何も反応しなかったから・・・」
「はぁ? まさかお前、世間で言うEDってやつなのか? 」
「そうだと思った時あったけど。それでずっと悩んでいたんだけど。・・・彼女には反応したんだよ・・・」
「え? まさか・・・お前もう・・・シタのか? 」
「それは秘密にしておくよ。ただ、彼女には反応したけど、他の女性には反応しなかったから自分でも驚いているだけだよ」
結人はちょっと驚いてきょんとなった。