起たたない御曹司君の恋人は魔女


 結沙は仕方なく結人と紗良の寝室へやって来た。


「ん? 結沙、今日はここで寝るのか? 」


 先にベッドの入っていた結人が言った。


「うん。彼女が熱出して、母さんが看ているって言うから」

「そうか。彼女はどこの人なんだ? 」

「同じ営業部に派遣社員として来たんだ。今日入ったばかりだよ」

「今日? それで、初日から付き合う事になったのか? 」

「まぁ、色々あったけど」


 結沙はベッドに入り横になった。


「結沙、社内恋愛だと周りがうるさいかもしれないぞ」

「うん、別いいけど。部長に手を出されるよりは、マシだし」

「営業部長か? 」

「うん、父さんも知っているでしょう? あの人の女癖の悪さ」

「ああ」


「さっそく、手を出そうとしていたから止めたんだけど」

「そうか。ま、お前が本気で恋したなら父さんは嬉しいから」


 結沙はフーッと一息ついた。


「父さんは、母さんに本気で恋したの? 」

「当り前じゃないか。そんな事」

「そうだよね。でもさ・・・」


 チラッと結人を見て、結沙は何か言いたげな目をした。


「なんだ? どうしたんだ? 」

「うん・・・」


 どうしようか・・・聞いてみようかな? ・・・

 ちょっとモジモジしている結沙を見て、結人はフッと笑った。


「なんだ? もしかして、彼女を抱きたいって思ったのか? 」

「ち・違う・・・。いや、そうだけど・・・。あのさ、父さんは。母さんと・・・その・・・すぐにできたの? ・・・アレ・・・」


 結沙はちょっと赤くなった。


「何を言い出すか思えば。そんな事、当り前じゃないか。愛している人なんだから」

「そっか・・・。父さんは、母さんと付き合う前は誰かと付き合ってた? 」

「まぁ、付き合っていたが。本気の恋じゃなかったな。何となく付き合っていて。紗良と出会って、本気の恋をしたから」

「え? じゃあ、母さん以外の人とはシテないの? 」


 え? っと、結人は驚いた。


「俺は・・・ずっと、女の人に何も反応しなかったから・・・」

「はぁ? まさかお前、世間で言うEDってやつなのか? 」

「そうだと思った時あったけど。それでずっと悩んでいたんだけど。・・・彼女には反応したんだよ・・・」


「え? まさか・・・お前もう・・・シタのか? 」

「それは秘密にしておくよ。ただ、彼女には反応したけど、他の女性には反応しなかったから自分でも驚いているだけだよ」

 
 結人はちょっと驚いてきょんとなった。
< 24 / 84 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop