起たたない御曹司君の恋人は魔女
4 家族になりたい

 リラは亡くなった母を思いだした。

 
 リラの母は、とても綺麗な人で。

 検察局で勤務していた。

 リラの父はリラが幼い頃に病気で亡くなり、母と2人でずっと生きてきたリラ。

 リラが中学校を卒業するまでは、母は仕事を押さえて短時間勤務で、できるだけリラが家にいる時は一緒にいてくれた。


 高校生になったリラを見届け、仕事を増やした母。

 だが、いつも夕飯は手作りで美味しい物ばかり作ってくれていた。

 遅くなっても決して出来合いの物は、なるべく買わずに必ず作ってくれていた。


 リラも手伝えることは手伝って、母と一緒に頑張って来た。



 そんな母が急に亡くなって・・・

 父が残してくれた思い出がいっぱいの家を、突然、親戚が奪ってしまった。



 まだリラが結婚もしていなく、行く場所がない事を知ると、家が見つかるまで居てもいいと言ってくれて暫くは一緒に暮らしていた。


 しかし。


 リラは一階の片隅にある一番狭い部屋に追いやられ、持っていた家具は全て取り上げられ、着替えと必要な物だけ渡されて使っていたベッドも取り上げられ、いつも古い布団で寝ていたリラ。


 父が残してくれた家なのに。

 母と一緒に力を合わせて建てた家なのに。

 なんで盗られるのかリラには理解できなかった。



 しかしある日・・・


 リラが寝ていると、親戚の伯父さんが急に部屋に入って来た。


 驚いて目を覚ましたリラに、伯父は覆いかぶさって来た、無理やりパジャマを脱がせようとした。


 抵抗しても男の力に押されてしまいそうになったリラは・・・


 ピカッ!

 大きく光が放たれ・・・

 伯父は氷で固まってしまった。


 間一髪危機を逃れたリラは、そのまま家を出た・・・。


< 36 / 84 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop