起たたない御曹司君の恋人は魔女
「ねぇリラさん。落ち着いてからでいいから、一緒に行ってもらいたい場所があるんだ。いいかな? 」
「え? どこに? 」
「うーん。沢山あるから、どこって言えないけど。行くときには、ちゃんと言うから。ゆっくり、体を治してね。きっと、疲れていたんじゃないかな? お母さん亡くなって、1人で頑張って来たんでしょう? 」
「・・・だって・・・頼れる人なんて、いないから・・・」
「そうだったんだね。でも、もう1人じゃないよ。俺がいるから」
え? と、リラは結沙を見た。
「俺が、リラさんの事。護っていくから」
そう言って、結沙はそっとリラの手を握った。
相変わらず白い肌のリラ。
握った手はちょっとだけ冷たかった。
その手をギュッと握って、結沙は少しでもリラの手が温まるようにと思った。
結沙の手の温もりを感じると、リラは何か胸に込みあがってくるものを感じた。
この想いはなんなの?
解らない感情に、リラは戸惑っていた。