起たたない御曹司君の恋人は魔女

 コンコン。

「結ちゃん、お風呂先に入る? 」

 紗良がやって来た。



 ドアを開けて入って来る紗良。


「あらリラちゃん。全部食べれたのね、良かった。顔色、だいぶん良くなったわね」

「はい・・・とっても、美味しかったです」

「喜んでもらえて嬉しいわ。そうだ、リラちゃんお風呂先に入っていいわよ。熱で汗かいたもの、ちゃんとお風呂入って綺麗にしないとね」

「あ・・・はい・・・」

「結ちゃん、リラちゃんにお風呂教えてあげてね」

「うん、分かったよ」

 


 
 それからリラは結沙に案内してもらい、お風呂に入った。


 わりと広いお風呂で、給湯式で、バズタブにはレモンの入浴剤が入っているようだ。



 リラは久しぶりにゆっくりと、お風呂に入ることが出来て嬉しかった。

 親戚が家に押しかけてきて乗っ取られてからは、いつも最後にしか入れなかった。

 給湯式なのに、お湯がもったいないと言われて湯張りは許してもらえずシャワーだけは許されていた。

 バスタブのお湯は少なくなっていて、汚く、シャワーのみで済ませていたリラ。


 最後に入っていると、わざと伯父が見に来る時があり、鍵をかけていても外から開けようとされて、ゆっくりお風呂に入れなかった。



 今日は一番に入れてもらって、お湯も綺麗でレモンのいい匂いにとても癒される。


 
 リラはクルっと指を回した。


 すると・・・

 本物のレモンが現れた。


「やっぱり本物があると、違うね」


 レモンの匂いを嗅いで、リラは嬉しそうに笑った。



「リラちゃん、湯加減どう? 」

 紗良が声をかけに来てくれた。


「大丈夫です、ちょうど良くて気持ちいいです」

「そう、よかった。着替え、置いておくわね」

「はい、有難うございます」

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