起たたない御曹司君の恋人は魔女

 わざわざ気遣ってくれるなんて。


 昨日初めて会ったばかりなのに。

 ましてや息子の彼女として、いきなり夜遅くに来て、突然一緒に住むことになったのに。

 とても優しくしてくれる・・・。


(俺が護るから・・・)

 結沙がそう言ってくれた。


「護ってもらって・・・いいのかな? 」


 リラの気持ちが揺れていた。





 
 リラがお風呂から出てくると、紗良が美味しいレモン水を出してくれた。


「はい、湯上りのお水。レモンが入ってきて、美味しいわよ」


 食卓の椅子を引いて、紗良はリラを座らせてくれた。


「有難う、ございます」


 椅子に座り、リラはお水を飲んだ。

 いい感じでレモンの香りがして、とても美味しいレモン水に、リラは嬉しくなった。


「あら? リラちゃん、髪乾かしてきた? 」

 リラの髪に触れて紗良が言った。


「いえ、いつも自然乾燥なので」

「ダメじゃない、熱下がったばかりなのよ。ちゃんと乾かさないと」



 紗良はドライヤーを取りに行った。


「濡れた髪は冷えの原因になるから、ちゃんと乾かしてね」


 そう言って、紗良はリラの髪を乾かしてくれる。


「リラちゃんの髪って、とってもサラサラしているのね。もっと長くしたら、とっても似合うと思うわよ」


 嬉しそうのリラの髪を乾かしている紗良を、ソファー座っている結人が見ていた。



「はい、これで大丈夫よ」

「すみません・・・」

「いいの、いいの。リラちゃんが来てくれて、嬉しいから」


 ニコニコして、紗良ドライヤーをしまいに行った。


 リラは一息ついて、またお水を飲んだ。



「あっち~」

 
 良人がお風呂から上がってきて、トランクス一枚でリビングにやって来た。


「ちょっと良ちゃん! そんな恰好で来ないでよ」

 紗良が注意すると、良人は、ん? とした目をした。
< 40 / 84 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop