起たたない御曹司君の恋人は魔女
「もう、良ちゃん。リラちゃんが、びっくりしちゃうじゃないの」
「あ、悪りい悪りい。いつもの癖でさぁ」
と言いながら、冷蔵庫からペットボトルのお茶を取り出して飲み始める良人。
「全く。良ちゃんといい、結人さんと言い。ちょっとは、気を使ってくれたらいいのに」
「え? 俺も? 」
結人は驚いた目をして振り向いた。
「そうよ、結人さんがいつも。お風呂上りに、全裸で歩いてくるから。良ちゃんが、マネしちゃっているんだから」
「はぁ? 俺は全裸でなんて、出て来ないぞ」
「え? いつも何にも着て来ないじゃない。パンツ忘れたとか、タオル忘れたとか言って。その癖が、良ちゃんにもうつっているのよ」
「ひ、酷いな・・・」
結人は照れ笑いを浮かべている。
良人はお茶を飲みながら、チラッとリラを見た。
リラは、紗良の言っている事にちょっと笑っているようである。
「母さん、俺隣り行くから。結沙、俺の部屋使って構わないよ」
「はーい、言っておくわ」
お茶をしまって、良人は部屋に戻って行く。
「あ、良ちゃん。ちゃんと服着て行きなさいよ」
「んな事当り前だろ! 言われなくても解ってるよ、ったく。いつまでたっても、母さんはうるさくて叶わないぜ」
ぼやきながら、良人は部屋に戻って行った。