起たたない御曹司君の恋人は魔女
5すれ違い
1日の仕事が終わり。
リラは1階のエントラスへ降りてきた。
外は寒くなってきた為、夕方は上着が必要なくらい。
リラは上着を着ないまま歩いて来た。
エントラスを歩いてリラがやってくると。
やせ細った顔色の悪い男がリラに近づいてきた。
ん? と、リラは立ち止まり男を見た。
男はニヤリと笑いを浮かべた。
「よお、お前こんな所にいたのか? 」
男はリラにヘラヘラ笑いを浮かべて近づいてくる。
リラは男を見据えた。
「急にいなくなりやがって、どうゆうつもりだ? あの家は、お前の家じゃないか」
リラの傍に来ると、男はいやらしい目でリラを見た。
「お前が居なくちゃ、俺達は不法侵入になるらしい」
「そんな事、私の知った事ではありません」
「だったら、あの家は俺達に譲るって証明書でも書いてくれよ。じゃないと、俺達に税金もかかって来るからよぉ」
「そんな事、住んでいる者の責任です。私には関係ありません」
「ケッ、お前相変わらず堅物だな? 」
男はタワーマンションを見上げた。
「今度はここに働いているのか? 」
「関係ありません、貴方には」
「ほう、相変わらず気が強いねぇ。さすが、元検察官。エリートまっしぐらが、母親が死んだら姿変えて消えっちまうのか? 」
リラは厳しい目で男を見た。
男はリラにすり寄って来た。
「そんな事言うなよ、俺はお前の一番の味方だったじゃないか。なぁ・・・イディス」
耳元で囁き、男はニヤリと笑った。
リラは男を睨んだ。
「帰って下さい。二度と、私に近づかないで下さい」
「そりゃ無理だ。俺は、お前の親戚だ。切っても切れないからなぁ」
呆れたようにリラはため息をついた。
「そんな時ばかり、親戚の顔をしないで下さい」
「そんな冷たい事言うなよ、イディス。それより」
男はリラのバッグを奪い取った。
「何するんですか? 返して下さい! 」
男はリラのバッグから財布を取り出した。
「へぇー良い財布もってんだな」
と言って、中身を見ると、男は目の色を変えた。