起たたない御曹司君の恋人は魔女
それからリラは何時ものように近くのコンビニへ向かった。
その前に、気持ちを入れ替えようと思い近くのカフェに寄った。
いつもは朝寄るカフェだが、夕方はまた客層も違い、朝の店員とも違う為雰囲気が違う。
窓際の席に座り、カフェオレを飲んでリラは一息ついた。
窓から見える夕焼けを見て、リラの目が潤んだ。
すると・・・
またヒラヒラとガラスの雪が舞い降りてきた。
外にだけではなく店内にもガラスの雪は舞い降りてきた。
「ん? 雪? 」
「え? 室内で? 」
「でもとっても綺麗ね」
他のお客さんが珍しがっている。
リラは雪を見ると悲しそうな目をした。
「一緒に、座ってもいいか? 」
ふと声がして見ると良人がいた。
「あなたは…」
「俺は良人。ちゃんと自己紹介、してなかったよな」
良人はリラの向かい側に座った。
店員が注文を取りに来て、注文すると良人はじっとリラを見つめた。
「なんですか…そんなに見ないで下さい…」
リラはフイッと目を反らした。
「悪い悪い、俺、綺麗な人の事じーっと見ちまうんだ。悪気はねぇよ」
「はぁ…」
結沙とそっくりな顔をしている良人。
だが、性格は真逆の様だ。
良人は言葉も雑で、結沙と比べると優しくないようだ。
良人が注文したのはブラックコーヒー。
「ゲッ苦っ。ここの珈琲、苦すぎだぜ」
良人は備え付けの砂糖を珈琲に入れた。
「まだ苦っ。ま、いいか今日は遅くまでまた起きているし」
良人はまたじっとリラを見た。
「なぁ、リラさんってうちの会社来る前はなにしてたんだ? 」
「同じ事務員です」
「そうなのか? 俺、てっきりリラさんはもっと格が上の仕事してたって思ったんだけどなぁ」
「格が上の仕事ってなんですか? 」
「うーん。例えば、医者とか弁護士。それから警察官。うーん・・・あ、そうだ! 検察官もいるなぁ」
検察官の言葉に、リラは一瞬ドキッとした目をした。
だが悟られないように平然を装った。