起たたない御曹司君の恋人は魔女
長い黒髪をクルクルとカールさせて、仕草も可愛くて、服装も可愛い系のワンピース。
ハイヒールを履いて背丈が高く見えるが、それでも結里は15センチほど身長差がある。
「ねぇ結ちゃん。今度の日曜は暇? 」
可愛い笑顔で尋ねる女子。
「日曜は先約があるから。ごめん」
「えーっ、つまんないなぁ。いっつも断られるんだから」
「仕方ないだろう? 優先する人がいるんだから」
「もう、なんでよ。別に私、結ちゃんを振ったわけじゃないのに。なんで別れるって言うの? 」
上目使いで女子は結沙を見て袖を引っ張った。
「私は今でも、結ちゃんが好きなのに。別に、しなくてもいいのよ。我慢できるから私」
「いや、それだけじゃ・・・」
と、女子は結沙に抱き着いた。
「ちょ・・ちょっと・・・」
ギュッと抱き着いて、また上目使いで結沙を見る女子。
「結ちゃん。2番目でもいいよ、私。だから、私の事捨てないで」
今にも泣きそうな目をして、結沙に縋りつく女子。
離れた場所で見ていてたリラは、何故かズキンと胸に痛みを感じた。
その痛みが何なのか解らず、リラはそのまま黙ってその場を去った。
足音に、結沙はハッとして振り向いた。
姿は見えなかったが、何となくリラが居たような気がした。
「ごめん、もう行くから」
女子を突き放して、結沙はエレベーターに向かった。
エレベーターの前には良人がいた。
「ん? あれ? 結沙。どうしたんだ? 」
「兄貴、リラさんここにいなかった? 」
「あ? いないみたいだなぁ」
「え? 一緒にいなかった? 」
「ああ、途中で会ったが。先に上に行ったか? 」
エレベーターが到着し、とりあえず結沙は良人と一緒に家に戻ってみた。