起たたない御曹司君の恋人は魔女

 長い黒髪をクルクルとカールさせて、仕草も可愛くて、服装も可愛い系のワンピース。

 ハイヒールを履いて背丈が高く見えるが、それでも結里は15センチほど身長差がある。



「ねぇ結ちゃん。今度の日曜は暇? 」

 
 可愛い笑顔で尋ねる女子。


「日曜は先約があるから。ごめん」

「えーっ、つまんないなぁ。いっつも断られるんだから」

「仕方ないだろう? 優先する人がいるんだから」

「もう、なんでよ。別に私、結ちゃんを振ったわけじゃないのに。なんで別れるって言うの? 」


 上目使いで女子は結沙を見て袖を引っ張った。


「私は今でも、結ちゃんが好きなのに。別に、しなくてもいいのよ。我慢できるから私」

「いや、それだけじゃ・・・」


 と、女子は結沙に抱き着いた。


「ちょ・・ちょっと・・・」


 ギュッと抱き着いて、また上目使いで結沙を見る女子。


「結ちゃん。2番目でもいいよ、私。だから、私の事捨てないで」

 今にも泣きそうな目をして、結沙に縋りつく女子。




 離れた場所で見ていてたリラは、何故かズキンと胸に痛みを感じた。


 その痛みが何なのか解らず、リラはそのまま黙ってその場を去った。



 足音に、結沙はハッとして振り向いた。



 姿は見えなかったが、何となくリラが居たような気がした。


「ごめん、もう行くから」

 女子を突き放して、結沙はエレベーターに向かった。



 エレベーターの前には良人がいた。


「ん? あれ? 結沙。どうしたんだ? 」

「兄貴、リラさんここにいなかった? 」

「あ? いないみたいだなぁ」

「え? 一緒にいなかった? 」

「ああ、途中で会ったが。先に上に行ったか? 」



 エレベーターが到着し、とりあえず結沙は良人と一緒に家に戻ってみた。

< 51 / 84 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop