起たたない御曹司君の恋人は魔女
「このギュッと繋いだ手を、ずっと離さないでほしい。俺も離さないから。握った手も、そして心も…」
握っている結沙の手がとても暖かくて・・・。
リラの頬に涙が伝った。
「・・・私は、貴方をずっと騙しています。それでも・・・愛してくれるの? 」
目にいっぱいの涙をためて、結沙を見つめるリラ。
結沙はまっすぐにリラを見つめたまま黙っている。
涙がいっぱいの目で、リラは結沙の答えを待っていた。
結沙は小さく笑った。
「噓がいけないって、誰が決めたんだろうね。俺は、嘘をついた人を責めようと思わないよ」
「え? ・・・」
「だって、嘘は自分を護る為についているだけだから。どんな理由があっても、それが人を騙す事になってしまった、事は結果論であり。それが全てではないと、俺は思っている。嘘の中にも必ず、愛は存在しているんだよ」
嘘の中にある愛?
そんな事、考えた事なかった。
リラは胸がいっぱいになり、何も言えず俯いた。
「リラさんは俺を騙していたって、今、正直に言ってくれたじゃない。それは、俺に対して申し訳ない気持ちがあるからでしょう? 」
言葉にならなく、リラはそっと頷いた。
「じゃあ、嘘をついていても。リラさんの中には、俺への愛があったって事だよ。その気持ちだけで、俺は全て許せるから。もういいよ、自分を責めなくて」
この人はどうしてこんなに余裕があるの?
全てを許せるなんて・・・そこまで言えるなんて・・・。