起たたない御曹司君の恋人は魔女


 何も答えないリラを、結沙はそっと抱きしめた。


「もういいから。一緒に帰ろう・・・ねっ」


 そっと背中をさすってもらって、リラは何となく重たい荷物が下ろせたような気がした。



 結沙の愛を・・・信じて見よう・・・

 リラはそう思った。






 
 

 21時を過ぎた頃。


 結沙がリラを連れて帰って来ると、紗良が真っ先に出て来た。


「リラちゃん! お帰り」

 
 ギュッとリラを抱きしめて、紗良はホッとした表情を浮かべた。


「心配したのよ、どこかで事故にあったんじゃないかって。よかった、無事で」

「ごめんなさい。ちょっと、考え事をしていたので・・・」

「いいわよ、リラちゃんが無事に帰ってきてくれたんだもの。それよりご飯は? お腹すいていない? 」

「あ・・・そう言えば、忘れていました・・・」

「じゃあ軽い物作るから、その前にお風呂入って来てね。体、冷えているようだから」

「はい・・・」


 リラはそっと結沙を見た。
 
 結沙は「大丈夫だよ」と頷いてくれた。


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