起たたない御曹司君の恋人は魔女
「ごめんなさい。麻中田リラと言うのは、全くの偽名です。・・・営業部長の事を探る為に、派遣社員としてここの会社に来ました」
「そうだったんだ。・・・でも、どうして偽名まで使って営業部長を探る必要があるんだ? 」
「営業部長は、横領の容疑がかかっています。そして、ひき逃げ・・・いいえ・・・引き殺した疑いもあるので、確かな証拠を手に入れるために来ました」
「引き殺したって、誰を? 」
「私の・・・母です」
「もしかして、今日いた交差点で亡くなった人? 」
「はい。私の母は、営業部長と深い中だったんです。ある時、営業部長の横領に気づいて自首するように勧めていたようです。他にも、営業部長は今まで手に掛けた女性を色々追い込んでいて。中には自殺した女性もいるので・・・」
「じゃあ、初日に部長に近づいたのは。事実を聞き出そうとしていたの? 」
「はい・・・。食事中にも、色々と聞き出す事はできましたが。もう少し、詰めた事が知りたくて・・・」
「そうだったんだね」
「すみません。母は、とても優秀な検察官でした。部長には検察官であることは、全く話していなかったようです。知り合ったのも、駅前で偶然出会たようで。何度も、警察に自首するか、会社に真実を話して欲しいと説得していたようです。でも・・・結局は、殺されてしまったようで・・・」
グッと込みあがってくるものがあり、リラは言葉を詰まらせた。