起たたない御曹司君の恋人は魔女

「本気で・・・言っているの? 」

「もちろん本気だよ。ずっと一緒にいたいから。さっき言っただろう? 俺の手をずっと、離さないでって」

「でも私・・・。他の人の比べたら、何もとりえもないし。・・・ダメだよ。うん・・・絶対ダメ! 」

「なんで? 」

「だって私・・・」

 
 パリン・・・

 机の上に置いてあったコップにひびが入った。


 それを見てリラは動揺した目をした。


「ダメだよ、私なんか。・・・私は・・・魔女だもの・・・」


 ん? と、結沙はリラを見た。


「私、魔女なんです」

「魔女? 魔法使いの事? 」

「はい。母の家系が、魔法使いの一族なんです。その血を受け継いでいて、何が起こるか判らなくて・・・だから・・・」


 フフッと、結沙は笑った。


「そんな事、気づいていたよ」

「え? 」

「だって、君が悲しい目をすると。いつも、綺麗な雪が降ってきて。部屋の中でも、舞い降りて来たし。さっきもそうだったから。魔法が使えるのかな? って、思ったんだ」

「そうなの、だから・・・」


「それでも俺の気持ちは、変わらないよ。君が魔法が使えても、何も問題はない。大切なのは、相手をどう思うかだけだよ」


 どう想うか・・・そうだけど・・・。

 リラは俯いて黙ってしまった。

 そんなリラを、結沙はギュッと抱きしめた。


「もういいよ・・・。分かったから・・・」


 そっと体を離すと、ゆっくりと結沙の唇が近づいてきた。

 ふわりと優しい唇が重なった。

 優しくて全てを包み込んでくれるような・・・。


 
 あの初めての夜の時とはまた違うキスに、リラはギュッと結沙にしがみ付いた。

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