起たたない御曹司君の恋人は魔女


 リラが席に戻ってきた。


 仕事の続きをしているリラを、結沙はチラッと見た。


 あのすれ違った女性はブロンドの髪だった。

 リラはブラウン。

 全く違う・・・でも・・・なんで反応しているのだろう。


 結沙は自分でもよく分からなくなった。








 定時時刻になり1日の仕事が終わる。


 結沙は伸びをした。

「終わったぁ」


 と、結沙はリラを見た。


 リラも仕事を終わらせ帰り支度をしている。


「麻中田さん、この後時間ある? 」

 勇が声をかけてきた。

「え? 部長、どうされたんですか? 」

 ちょっと色っぽくニコッと笑うリラ。

「新人歓迎ではないけど、食事でもどうかと思ってね」

「まぁ嬉しい。何をご馳走してくれるんですか? 」

「そうだね、駅前のイタリアンはどうだい? 」

「駅前の? …ああ、いいですね。行きましょうか」


 ニコッと笑って、リラはパソコンを閉じてバッグを机の引き出しから取り出した。


 2人の様子を見ていた結沙は、何となくモヤっとしてきた。

 それにちょっと引っかかった。


 駅前のイタリアンは有名で、金奈市に住んでいれば誰でも知っているお店だが、リラは分からない様子だった。

 だが、知っているふりをしていた。


 あのアクションは何なんだろう? 


 モヤっとしている結沙をよそに、勇とリラは帰って行った。
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