起たたない御曹司君の恋人は魔女
お墓参りを終えて、お昼を過ぎた頃に結沙とイディスが帰ってきた。
結人も紗良も家でゆっくりとくつろいでいた。
良人は隣りで勉強に励んでいた。
イディスは結人に話したい事があると言って、少し時間を作ってもらう事にした。
紗良と結沙は少しだけ席を外す為、良人のいる隣へ行った。
改めて結人の2人きりになり、イディスはちょっと緊張していた。
リビングのソファーに座って、緊張した面持ちで少し俯いていたイディス。
「改まって話しとは、どうかしたのかい? 」
緊張しているイディスに、結人はとても優しい声で話しかけた。
その感じは結沙に似ている。
「はい。実は私…」
イディスは緊張しながら、隠していた全てを結人に話した。
本当は検察官でありながら、営業部長の勇の事を探るため、そして母レイナの一件の裏を取為に派遣社員として名前と姿を変えて、宗田ホールディングに来た事。
そして…魔法使いの血族であり魔力を持っている事を…。
結沙は少し驚いたような目をしたが…。
「そうだったんだね。でもね…初めから、気づいていたよ。全部」
「え? 」
「だって、普通の人とは違う感じがしたし。頭良さそうな顔しているし、事務員なんてガラじゃないって思っていた。それに、前にお風呂にレモンが浮いていた事があた時に。紗良に聞いたら、粉は入れたけどレモンは入れていないって言われて。そのレモンをじっと見ていたら、何となく君の顔が見えたんだ。それに、君の瞳はとても綺麗で不思議な感じがしてたから。なんとなく、直感で感じていたよ」
「…そうだったんですか…。見抜かれていたんですね…」
「何となくだったけどね。うちの親戚の伯父さんが、不思議な力を使えるんだけど。その伯父さんと、同じような感じがしたからね。悪い人じゃない事も、ちゃんと解っていたよ」
緊張していたイディスの顔が、ちょっとだけ和らいだ。