Before dawn〜夜明け前〜
週末。
「ハイ、タク!イブなら自室よ」
拓人がNYのジェファーソン法律事務所を訪ねると、受付嬢が笑顔で迎えてくれた。
拓人は勝手知ったる事務所の廊下へ向かう。そして、いぶきの部屋の名前のプレートが黒字であることを確認してからドアをノックした。
「タク!」
いぶきの部屋にはこの事務所のボス、ロバート・ジェファーソンの姿があった。
「ロバート。久しぶり。
結婚式の時はありがとう」
「いやいや、こちらこそ、イブを長いことすまないね。なかなかいい人材が居なくてね。
出産までには、なんとか見つけるから」
「仕方ない。
こちらも、全て承知の上で結婚しましたから。
いぶきを重用してもらえて嬉しいです。
あ、これ、お土産です」
拓人が手にしていた紙袋をみて、ロバートは目を輝かせた。
「これは、豆大福だね?さすが、タク。
僕の好みわかっているな」
「昨日からさりげなくわたしに聞こえるように、“豆大福が食べたい”って呟いていたのに」
いぶきがパソコンから目を離さずに言った。
「そうだっけ?
それは、ただの独り言に過ぎんよ。
で、どうだい、イブ」
「もう少しです」
いぶきは、ものすごい勢いでパソコンのキーボードを叩いている。
「すまんね、タク。急ぎの仕事でね。
でも、イブなら余裕さ」
「OK。ボス、目を通して下さい」
いぶきがパソコンから顔を上げ、プリンターから流れ出る書類を手渡した。
「どれ」
ロバートは、驚くべきスピードで紙をめくる。内容が頭に入るのか心配になるほどの速さだ。
「12ページの内容を、もっと具体的に。
それから、14ページは、文章が重なっている」
ロバートの指摘と同時にいぶきがパソコンで修正していく。
「あとは、よし」
「OK、ボス。こちらも出来ました。
12ページと14ページを差し替えて下さい」
「よし。完璧。じゃあ後はタクに任せてイブを解放しよう」
「ハイ、タク!イブなら自室よ」
拓人がNYのジェファーソン法律事務所を訪ねると、受付嬢が笑顔で迎えてくれた。
拓人は勝手知ったる事務所の廊下へ向かう。そして、いぶきの部屋の名前のプレートが黒字であることを確認してからドアをノックした。
「タク!」
いぶきの部屋にはこの事務所のボス、ロバート・ジェファーソンの姿があった。
「ロバート。久しぶり。
結婚式の時はありがとう」
「いやいや、こちらこそ、イブを長いことすまないね。なかなかいい人材が居なくてね。
出産までには、なんとか見つけるから」
「仕方ない。
こちらも、全て承知の上で結婚しましたから。
いぶきを重用してもらえて嬉しいです。
あ、これ、お土産です」
拓人が手にしていた紙袋をみて、ロバートは目を輝かせた。
「これは、豆大福だね?さすが、タク。
僕の好みわかっているな」
「昨日からさりげなくわたしに聞こえるように、“豆大福が食べたい”って呟いていたのに」
いぶきがパソコンから目を離さずに言った。
「そうだっけ?
それは、ただの独り言に過ぎんよ。
で、どうだい、イブ」
「もう少しです」
いぶきは、ものすごい勢いでパソコンのキーボードを叩いている。
「すまんね、タク。急ぎの仕事でね。
でも、イブなら余裕さ」
「OK。ボス、目を通して下さい」
いぶきがパソコンから顔を上げ、プリンターから流れ出る書類を手渡した。
「どれ」
ロバートは、驚くべきスピードで紙をめくる。内容が頭に入るのか心配になるほどの速さだ。
「12ページの内容を、もっと具体的に。
それから、14ページは、文章が重なっている」
ロバートの指摘と同時にいぶきがパソコンで修正していく。
「あとは、よし」
「OK、ボス。こちらも出来ました。
12ページと14ページを差し替えて下さい」
「よし。完璧。じゃあ後はタクに任せてイブを解放しよう」