やってきた秋に、舌打ちをした。
叶うもんか。
照りつけてくる太陽と、希望をすべて落として捨てるような木々と、強い風と、どこかから立ち上っては……自分はたくさんのひとにみてもらえていると自慢するような薪の炎と。
……それらが憎く見えてしまう自分と。
すべてにバカにされているように感じて、すべてバカになんてしてきていなくて。
……むしろ、憐れんでいると、知っている。
「千秋くん」
聞こえないことは、知っている。
見えないことは、知っている。
それでも。
枯れないこの声があるのだから。
誰にも認知して貰えないけれど、きちんと、声が……。
「千秋くん」
だから、何度でも。
「――千秋っ」