魔女狩り
砂漠の戦士
「…」
砂漠の戦士は沈黙のまま馬を降り、膝まづくキリクに近付いていった。
キリクは膝まづいたまま地を見つめ、他の騎士は息をすることもなくその状況を見つめた。
砂漠の戦士
「私の名はグレイオス。
砂漠の民である。
このオアシスから私達の拠点に救難が届いた。
そのため私はこのオアシスに駆けつけた。
そしてお前達を敵だと見なし、切り付けてしまった。
…お前達の仲間を殺してしまったようだな。
非礼を詫びさせてくれ」
砂漠の戦士の名はグレイオスといった。
そして、キリクは面を上げ、グレイオスと会話を始めるのだった。
キリク
「このオアシスを襲った者は何者なのですか?」
グレイオス
「それはお前達の方が詳しいであろう。
このオアシスを襲ったのはマーダーだ。
このオアシスにいるはずもない魔女を探し、そして虐殺を始めたそうだ。
…我らの伝令はそれだけを言い残し生き絶えた。
騎士とマーダーとは無関係と聞くがどうなのだ?」
キリク
「確かに私達とマーダーとは同じ王に仕える身ですが、関係はまったくありません。
しかし、王直属の部隊がこのようなことをするとは…。
…北の村から女と若者達が砂漠の民に連れて来こられたはずなのですが、それについては何かご存じですか?」
グレイオス
「…いや、何も知らない。
しかし、やはり騎士とマーダーとの関係は薄いのだな。
本当にお前達の仲間には悪いことをした…」
キリク
「いえ…。
こちらこそ多くの砂漠の民を犠牲にしてしまいました…。」
グレイオス
「…確かに魔女の存在は脅威なのかもしれない。
しかし、今はダリウスの統治の下にいる砂漠の民もこのようなことが続けばいずれ牙を剥くだろう。
…その時は騎士であるお前とも戦うことになる。
その時は覚悟しておけ」
グレイオスはそう言い残すと馬に飛び乗り砂漠の中へと消えて行くのだった。