魔女狩り
#13
ゼノスは何も言わなかった。
そして、後ろを振り向くとジャイスへと向かって馬を走らせるのだった。
ラウルは何も言わなかった。
そして、後ろを振り向くとサピアへと向かって馬を走らせるのだった。
二人の間にそれ以上の言葉は必要なかった。
一方は王を信じ、一方は民を信じた。
そして、そのどちらもが、そのどちらをも大切にしていた。
以前に分かれたその分岐は、時を越え日を刻み、いつの間にか大きなものとなっていた。
二人の歩む道は違えども、その二人もが同じ信念を持っていた。
守るべきものを守り、守るべきものの為に戦う、それは、誇り高き騎士の姿であった。