魔女狩り
閃光一閃
ゼノスの巨大は馬からずり落ちた。
ゼノスの体は砂漠の民より僅かに遠くで地に落ちた。
キリクは最初何が起きたのかわからなかった。
そして、ゼノスには既に意識がなかった。
「その木偶の坊を連れて帰りな」
そう言ったのはキリクがオアシスで対峙したグレイオスだった。
キリクは気付かなかったが、グレイオスはずっとこの戦場に居たのだった。
とは言っても、グレイオスは戦闘に参加したわけではなく、緩やかな丘の上で高見の見物をしていたのだった。
キリクはゼノスの元まで近付くと、その巨大を持ち上げた。
そして、グレイオスに一礼するとキリクは踵を返し、全速力で荒原地帯を抜けるのだった。
グレイオスがここでゼノスの意識を飛ばしていなければ、ゼノスは確実に死んでいただろう。
そうすれば、ラウル、ゼノスの敵討ちのためにより多くの血が流されたに違いなかった。
グレイオスは密かにこの事態を防いだのだった。
そして、そんなグレイオスがキリク達の城を訪れたのは、それからしばらくしてからのことだった。