魔女狩り
王はいよいよ試合を止めた。
グレイオスの力を認めたのだ。
グレイオスは力を抜いて息を吐き出した。
キリクもまたそれを見て安堵した。
一方、マーダーの表情はというと、その重々しい甲冑の中からは伺えなかった。
そして、闘いを終え、準備を整えたキリク達は王の率いる本軍と共に西方に向かうのだった。
西方の平原は、北方、南方、西方を険しい山に囲まれた広大な平原だった。
そんな平原を駆け抜けながら、キリクは、どのようにしてガラド王国の軍が山を越えて来たのかを考えていた。
西方の山の頂きには年中雪が振り積もっており、そうそう越えられるものではなかったのだ。
さらには、もし山を越えられた軍隊がいたとしても、その軍隊に隣国を堕とす力など残っているわけもなかったのだ。
しかし、ガラドの大軍はなんの疲弊もなく山の麓に出現していたのだ。
西方からの伝令からもたらされたその情報に、誰もが魔女の力ではないのかと思うのだった。