魔女狩り
-19-
キリクは城の地下にある牢に幽閉された。
その牢は、ジャノスの地下牢に比べれば奥行のないものの、一国の城の牢だけはあり、堅固な造りであった。
キリクはその牢の中でも最深部に幽閉されたが、キリクには手枷も足枷もつけられず、彼の行動を制限するものは目の前の鉄格子だけだった。
さらに、キリクにはある程度の自由が与えられ、キリクは蝋燭の灯を頼りに書物を読むことさえできた。
微かな糞尿の臭いさえ我慢すれば、さほど居心地の悪い場所ではないようだった。
そんなキリクに訪問者が訪れた。
グレイオスだ。
グレイオス
「………。」
沈黙するグレイオスの後ろには、監視のために騎士が一人いた。
グレイオス
「お前は何故王に仕える?」
その言葉にグレイオスに付き添ってきた騎士がグレイオスを睨みつけた。
キリク
「あの方が王であるからだ。」
キリクは何事もないようにそう返答した。
グレイオス
「あいつは王であるべき存在なのか?」
淡々と語るグレイオスの傍らで、騎士の目付きはより一層きつくなっていた。
キリク
「あの方は聡明なお方だ。
王になるべくしてなられた方だ…。」
キリクは騎士を諭すように瞳を送りながらそう言った。