魔女狩り
ダリウスは以前から魔女を脅威に感じていた。
それ故に行われていた魔女狩りだ。
しかし、ダリウスは魔女狩りに関しては非道であるが、その一方で、他の面に関しては極めて優れた、名君と讃えられるべき存在だった。
スサノ村での疑問、オアシスでのマーダーの横暴があったにも関わらず、キリクがこの王に忠誠を尽くすのはこのためであった。
しかし、心を闇に呑まれつつある王は、そんなキリクの忠誠心とは裏腹に、キリクへの仕打ちをより酷いものへとするのだった。
まずは、重罪人の拷問をキリクの幽閉される牢の隣で行うようになった。
それこそ魔女との関係を問われ、マーダーに幽閉された者たちだ。
鈍く沈んだ音…、呻き血に染みる声…、キリクの耳にはそれらが否応なく聞こえてきた。
黒く澱んだ血…、やがて消える命…、王はこれでキリクと魔女の繋がりを抑止しようとでもしたのか?
王は狂い始めていた――。