魔女狩り
-23-
その音は、マーダーが牢への扉を開ける音だった。
キリクの疑念はさらに高まり、不信の鼓動はさらに高まった。
マーダーからキリクの牢への距離はまだあった。
しかし、マーダーは、キリク以外の何者かの気配を感じ取るのだった。
グレイオスは焦らざるを得なかった。
本来ならマーダーとの実力はグレイオスの方が上かもしれない。
ただ、機動力を活かすグレイオスの戦い方にとって、この狭い通路は余りにも不利だったのだ。
グレイオスは焦っていた。
グレイオス
「キリク!!天を仰げ!!!」
グレイオスは、そう、キリクに叫ぶのだった。
グレイオスに気圧されたキリクは、言われるがままにその両手を天にかざし、それと同時に疑念と不信、そのどちらもが消えて行くのを感じるのだった。
そして―――――、
――――――――、
光が牢を満たすのだった。