魔女狩り
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粗末なベッドに横たわるキリクに何者かが近付いた。
しかし、キリクの意識はまだ遠く、光の深淵にあった。
キリクの傍らに寄った者がキリクに息吹きを掛けた。
憐れむような優しく流れる風――。
すると、キリクの意識は光の淵から闇の深淵へと向かうのだった。
眉が密かに動き、指先が微かに揺れた。
息吹きを掛けた者は、続いてキリクに呼び掛けるのだった。
しかし、それは声にならず、
しかし、それは確かに伝わっていた。
キリクは光と闇を越え、現実の淵へと生還した。
目がぼんやり霞み、長い間使っていなかったかのような錯覚に襲われる。
暗順応と明順応の境。
キリクに目眩が襲いかかるのだった。