魔女狩り
-27-
グレイオス
「お前は選ばれし者だ。」
それは、グレイオスの口から出た言葉だった。
サラとの出逢いに困惑するキリクは、グレイオスに引き連れられ別室にまで来ていた。
キリク
「選ばれし者…?」
グレイオス
「ああ。お前は俺達に必要な存在だ。」
キリク
「俺達…?」
グレイオス
「ああ。
…お前も知っているだろう?
あの馬鹿な王様のお陰で多くの者達が苦しめられ、殺されている。
俺達はそんな王に対抗するための勢力なんだ。」
以前のキリクであったら、ここで何らかの反論をしただろう。
しかし、キリクは自らが仕える王を侮辱されたにも関わらず、反論しようとはしなかった。
それは、今まで心の中に燻らせてきた、王への不信の念が強かったからなのかもしれない。
グレイオス
「キリク…、お前は王の非道な仕打ちを見て来たのだろう?
…サラは本物の魔女だ。
お前の目の前で殺されていった者の中に、本物の魔女はいたのか?」
キリク
「…。」
グレイオス
「お前がその腕で守るのは、王の権威なのか?」
キリク
「…。」
グレイオス
「お前が守るのは、今、苦しみ堪えている、多くの民なのではないか!?」