魔女狩り

-28-


キリクが覗いてみると、その部屋の中には小さな子ども達がたくさんいた。


大人の姿は余りなかったが、そこにはサラの姿があった。




その中の一人の男の子が、キリクの存在に気付いた。


男の子
「…キリク!?」


そして、その男の子の声を機に皆がキリクを見るのだった。


その少年らの目は輝いており、子ども達に遅れてキリクを見たサラは、また優しく微笑むのだった。




キリクとサラは通路を二人で歩いていた。


キリク
「先程の子ども達は?」


それはキリクの素朴な疑問だった。


そして、それにサラはこう答えるのだった。


サラ
「孤児です…。」


キリクは、サラのその一言で全てを理解してしまった。


魔女狩りにより親を殺された子ども達、それが彼らだった。


王を信じ、魔女狩りを肯定してきたキリクにとって、それは重い事実だった。


サラ
「子どもだけではありません…。魔女狩りで妻を殺された者、自分を守ろうとして夫を殺された者…、ここにはそんな人が大勢いるのです。」


それを言うサラの顔に、微笑みはなかった。


キリク
「…グ、グレイオスもですか?」


しかし、キリクのその質問に、サラは再び優しい微笑みを浮かべるのだった。



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