魔女狩り
???
「久しぶりだな…。」
それは男性の声だった。
キリクはこの一声で、この人物が誰なのかがわかった。
かつて、キリクが父として仰ぎ、そして、キリクに騎士の全てを説いた者。
キリク
「ラウル…。」
ラウルは荒野で死んだはずだった。
スサノでキリク達と別れた後、単身盗賊に襲われ死したはずだった。
しかし、そのラウルがこうして生きている。
勿論キリクは驚いていた。
しかし、キリクは妙に落ち着いているのだった。
それは、今まで自分に生じた出来事がキリクの神経を麻痺させていたのかもしれない。
しかし、心は落ち着く一方で、キリクの四肢は熱を帯び、四肢の先からラウルとの再開の喜びを感じているのだった。
キリク
「ラウル…、あなたは盗賊に殺されたはずでは?」
それが、今、再び目の前にいるラウルへの、キリクからの問い掛けだった。