魔女狩り
#10
ラウルの元に砂漠の王グリレイオスからの報せが届いた。
それによると、反乱軍の拠点サピアをラウルに統率させ、反乱軍の暴走を未然に防ぐということだった。
ラウルの人徳はグレイオス、キリクの比ではなく、反乱軍をなだめるのには十分だった。
しかし、そうするとジャイスの防衛が極めて疎かになってしまうことは明らかであった。
ジャイスの目の前には、国王軍の占拠する都市ジャノスがあり、ラウルが抜けようものならジャイスの陥落も時間の問題だった。
そう、詰まるところ砂漠の王グリレイオスは、ジャイスの防衛を放棄したのだった。
ラウルは兵の準備を整えると共に、民にも脱出の準備を忙せた。
一度抵抗軍に占拠された都市の住民は、国王軍によって不当な扱いをされることも多くあったのだ。