死りとりゲーム


「いやぁあああ!」


すぐ近くで叫び声がし、それが響子のものと分かるのに時間はかからなかった。


まだ、明香の葬儀は行われており、ゲームの世界でそうしていたように、私たちは抱き合ったままその場に崩れる。


それを心配そうに見つめる、クラスメイトたち。


違うんだ。


そうじゃない。


私たちは悲しんでいるんじゃなく、怯えてるんだ。


これから起こる『死』に、怯えている__。


「きゃっ!」という短い悲鳴に顔を上げると、賢太の周りに人だかりができていた。


いきなり顔面が無残に変化した、賢太。


でも私は見逃さなかった、その唇の端だけは、異様につり上がっているのを。


「あ、あそこ!」


響子が指差す先に、悠馬が立っている。


その後ろから、事情を知っている新田くんが声を掛けようとした、そのとき。


なにかで頭をがつんと殴られたように、悠馬が震えたんだ。


体を突っ張らせ、そのままゆっくりと後ろに倒れる。


「悠馬!」


それを新田くんが、支えた。


たぶん、新田くんもわかっていたはず。


悠馬は助からないってわかっていたのに、支えたんだ。


1人で、寂しく倒れないように。


すぐに葬儀場は、修羅場と化した。


< 103 / 261 >

この作品をシェア

pagetop