死りとりゲーム
「いやぁあああ!」
すぐ近くで叫び声がし、それが響子のものと分かるのに時間はかからなかった。
まだ、明香の葬儀は行われており、ゲームの世界でそうしていたように、私たちは抱き合ったままその場に崩れる。
それを心配そうに見つめる、クラスメイトたち。
違うんだ。
そうじゃない。
私たちは悲しんでいるんじゃなく、怯えてるんだ。
これから起こる『死』に、怯えている__。
「きゃっ!」という短い悲鳴に顔を上げると、賢太の周りに人だかりができていた。
いきなり顔面が無残に変化した、賢太。
でも私は見逃さなかった、その唇の端だけは、異様につり上がっているのを。
「あ、あそこ!」
響子が指差す先に、悠馬が立っている。
その後ろから、事情を知っている新田くんが声を掛けようとした、そのとき。
なにかで頭をがつんと殴られたように、悠馬が震えたんだ。
体を突っ張らせ、そのままゆっくりと後ろに倒れる。
「悠馬!」
それを新田くんが、支えた。
たぶん、新田くんもわかっていたはず。
悠馬は助からないってわかっていたのに、支えたんだ。
1人で、寂しく倒れないように。
すぐに葬儀場は、修羅場と化した。