死りとりゲーム
一体なにが言いたいの?
賢太がまとう空気が、じっとりと濁り始めた。
「中学校に上がれば、クラス替すれば、そうすればイジメられなくなるって何度も期待した。何度も何度もね。でも、現実はこの通りさ。環境が変わろうがイジメはなくならない。たとえいじめっ子を殺したとしてもね」
それは、悠馬のことを言っているのだろう。
【る】で終わらせ、そのルービックキューブを隠して死に追いやった。
「どうしてイジメがなくならないか、知ってる?」
どんどんと時間が減っているのに、賢太はなにを考えているのか?
不穏なものを感じて、質問に答えられない。
「それはね、イジメを見て見ぬ振りするやつがいるからさ__君たちみたいなね」
「そ、そんなの屁理屈じゃない!」
「じゃ、君が助けてくれたことある?」
賢太に睨まれ、ぐっと言葉に詰まった。
いつも面白おかしく悠馬にイジられていた賢太を、私たちは笑ってなかったか?
たまに行き過ぎだと思うことはあっても、止めることはしなかった。
「だから、イジメをなくすためには、みんな死ぬしかないんだよ」
「なにを言って__」
「みんな死ねばいい!」
怒鳴った賢太の唇が、ゆっくりとつり上がる。
なにかを引き出しから取り出して__。