死りとりゲーム
【る】⁉︎
「あんたねー!」
怒った響子が突っかかる。
「なんだよ?僕はルールに従ってしりとりをしているだけさ。文句でもあるのか?」
全く悪びれる様子がない賢太に「あるに決まってんでしょ!」と、響子が殴りかかろうと__。
「賢太の言うことは間違ってない」
新田くんが静かに言った。
「そんなっ__新田、あんた殺されちゃうんだよ!」
そう、私のせいで。
私が『ココア』を選んでしまったから、新田くんに危機が訪れている。
そんなつもりはなかった。ましてやその逆で、少しでも新田くんの役に立ちたくて__。
「田辺、そんな顔するなよ」
「えっ、でも__」
「俺は大丈夫だって言ったろ?」
そう言うと、新田くんは静かに廊下に出て行く。
急ぐでも、かといって迷うでもない、確かな足取り。
向かった先は【演劇部】だ。
「賢太、俺たちに協力しないならそれでいい。俺たちはゲームを終わらせるだけ。それすら気に入らないんだろう?」
「__なにが言いたい?」
「俺たちも殺したいなら、もう一つレベルを上げないと」
衣装をかき分けている新田くんが、白い靴下を引き上げた。
「俺にはもう【る】は通じないから」
その伸びきった靴下は「ルーズソックス」だった。
あと1回。
あと1回クリアすれば、死りとりゲームが終わる。