死りとりゲーム


「り!り、り!」


響子が【り】を繰り返し、軽くパニックになっている。


ここは私たちの教室。


この中から【り】のつくものを見つけないといけない。


しかも制限時間、10分の間に。


「り!りす?りす⁉︎」


「リスなんているわけないじゃない」


明香が小馬鹿にしたように言った。


響子は机の中を覗き込んだり、あちこち見回したりと挙動不審に見える。


ただのしりとりなら、それこそ『リス』でいいけど、学校の中にあるものしかダメなんだ。それって意外と限られてくるな__。


「やだ、どうしよう!思いつかない!」


焦りまくる響子に、私たちもどうしていいか分からない。


そもそも、これはチーム戦なのか?


みんなで協力するゲームなの?


みんなでやるなら、順番の意味もないし。


でも、響子があまりにパニクっているので、私も考えてみた。


学校の中にある【り】がつくもの。


みんなも考え込んでいるようで、首を傾げている。


り、り、り__?


「あっ」


私は自分の席に戻り、カバンを確認した。


ある。


私のカバンがそのままかかっている。その中に手を突っ込み【リップ】を掴んだ。


学校の備品ではないけど、教室の中にあるものだからオッケーだろう。


響子にリップを渡そうと__。


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