死りとりゲーム


『他の参加者が答えを教えると、両者失格になります』


学校内に響き渡るアナウンスに、私の手が止まる。


私はそっと、リップをカバンに戻した。


そして教室内を見回す。


まるで、私が渡そうとしていたのを見ていたようなタイミングだ。どこからか、監視されているのか?


「もう5分しかない!」


響子がさらに焦る。


まさか言い出しっぺの響子が、1番に失格になるなんて__。


見守ることしかできない私たちは、お互い顔をまた合わせる。


「まさにしりとりって感じだよな?」


そう言ったのは、新田くんだった。


まさに、しりとり?


「だって【り】から始まるって、王道っていうかさ」


「王道?」


首を傾げていた響子が「あっ!」と叫んで教室を飛び出していった。


「ちょっと、響子⁉︎」


私たちも急いで後を追いかける。


恐らく【り】がつくものを見つけたのだろう。でも、一体、どこに__?


響子が飛び込んだのは【調理実習室】だった。


「ほら、あった!」


高々と突き上げた拳には、真っ赤なリンゴが握られている。


今日、調理実習で使ったんだ。


『クリアです』


合格のアナウンスが流れ『それでは【ご】のつくものを探して下さい』と続いた。


私の番だ。


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