死りとりゲーム
残り時間は4分。
賢太がどうしたいのか、いまいち分からない。
私たちに復讐したいのか、それとも__?
「この世界で起きたことは、現実でも起きる。でも知ってるだろう?絶対に罪に問われることはない。それって、凄いことだと思わないか⁉︎」
なにかに取り憑かれたように話す賢太は、恍惚の表情を浮かべている。
「選択権が全部こっちにあるなんて、もう僕はいじめられっ子じゃない。その反対側の人間なんだ」
「もう3分しかない!急がないと」
「じゃ聞くけど、次が失敗しないっていう保証は?」
「それは__」
「失敗したらポイントは貰えない!それなら死り神を殺したほうが確実じゃないか!」
そのとき、私はやっと分かった。
賢太は、殺したいんだと。
される側だった立場から、する側になったことを証明したいんだ。
「また死り神が襲いかかってくるとは限らない。それに、もし本当に殺してクリアしたいなら、俺たちは協力しない。自分1人で殺るんだな」
突き放すように言う新田くんに、一瞬だけ賢太が怯んだけど__。
「僕が、死り神を殺す」と言って、賢太は近くの机を漁り出した。
そして手にしたのはカッターで、音を立てて刃先を押し上げる。
本当に殺す気なんだ?
『残り1分です』