死りとりゲーム


「田辺、離れよう。巻き込まれる」


新田くんに手を引かれて教室の隅に移動する。


私たちは、あくまで正当にゲームをクリアしたい。


それを邪魔立てするというなら、賢太には協力しない。


1人で戦えばいいんだ。


「死り神、来るよね?」


「ああ、多分な。じゃないと、これまでとルールが変わる。ただ、誰が来るのかは分からないけど」


そう、未だにどうして竜ヶ崎先生だったのか、その理由も判明していない。


だからこそ余計、死りとりでクリアするほうがよかったのに__。


賢太が身を伏せた。


相手の不意をつくために、隠れたんだ。


でもそれって、こないだ私が新田くんの指示で試したけど?


『タイムオーバーです』


アナウンスとともに、明かりが消える。


明るかった空も、瞬時にして夜空に変わった。月も星も浮かんでいない、真っ暗な空に。


恐怖が襲ってくるけど、新田くんが手を握ってくれている。


それだけで、とてつもなく心強い。


私も強く握り返し__なんの足音も聞こえないまま、突然、明かりがついた。


闇夜から、青空に変わる。


賢太は床に伏せたままで、そこに死り神は居なかった。


やっぱり、もう出てこないの?


ひょっこり机から顔を出した賢太。きょろきょろと教室内を見回す目が、私のところでぴたりと止まる。


そしてその目が__見開かれた。


「えっ?」と、間近で息遣いを感じた私は振り返る。


目の前に、死り神が立っていた。


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