死りとりゲーム
鎌は机に弾かれ、軌道をわずかにそれた。
賢太の髪の毛をすーっと斬り落とし、そのまま壁に突き刺さる。
「あぁあああー‼︎」
賢太が絶叫しつつ、教室を飛び出していく。
その後を追いかける死り神は、私たちを突き飛ばし、壁から鎌を引き抜くと廊下に走った。
少し、縮んだ?
竜ヶ崎先生はとても体が大きかったけど、今度の死り神はふた回りくらい小さくなっている。とはいえ、ローブとお面で性別は分からない。
やっぱり、何人でも居るんだ。
居るというか、操られてる?
私たちも廊下に出たけど、賢太の姿はとっくに見えなくなっていて__立ち止まった死り神が、ゆっくりとこちらを振り返った。
じーっと、粘りっけのある眼差し(とはいっても仮面越しだけど)が、体にまとわりつく。
死り神は、死りとりに失敗した失格者を殺すんじゃないの?
それなのに、どうして?
「逃げるぞ」
新田くんに手を引かれたけど、すぐに足は動かない。
死り神が、鎌を振り上げたままこっちに向かってきているのに__。
「田辺っ!」
耳元で怒鳴られ、ようやく私も駆け出した。
死り神に向けた背中が、凍てつくように冷たい。
今にも、鎌の刃が食い込みそうで__。