死りとりゲーム
廊下を走る。
新田くんに手を引っ張られながら、私は後ろを__?
「えっ⁉︎」
すぐそこまで、死り神が迫っていた。
は、早い⁉︎
人間のスピードじゃない!
ここで鎌を振り下ろされたら、背中がカパッと避けてしまう__。
「こっちだ!」
急に方向転換した新田くんと、そのまま階段を駆け下りる。
踊り場で見上げると__ふわり。
死り神のローブが舞い上がる。
なんて跳躍力なの⁉︎やっぱり化け物だ!
一段飛ばしで、転げ落ちるように階段を駆け下りたけど__。
死り神は、私たちを弄(もてあそ)ぶように追いかけてくる。
このまま逃げても、すぐに追いつかれてしまう!
「お、俺が囮(おとり)にっ!」
そう言って急に立ち止まった新田くん。
「だめだって!」
「田辺は逃げろ!」
「だめっ!」
そうこうしている間に、死り神が目の前までやってきた。
もう、逃げられない。
かといって、やっつけることができる武器を持っていない。
「お、俺たちは失格者じゃない!」
懸命に訴えるも、ゆっくりと鎌は持ち上げられていく。
きらりと光る鎌の刃が、私たちの目の高さに__。
新田くんの背中にしがみつき、ぎゅっと目を閉じたそのとき。
がしゃん!
なにかが倒れる音がし、敏感に反応した死り神が脱兎のごとく駆け出していった。
た、助かった。