死りとりゲーム


手近な教室に隠れることにした。


念のため、2人で教壇の下に入り込む。


顔と顔が触れ合うくらいに近くて、こんなときだというのに、胸がどきときしてしまう。


「し、死り神はどうして私たちを襲ったの?」


胸の高鳴りをごまかすように、新田くんに尋ねる。


「優先順位があるような気がする」


「優先順位?」


「うん。まずは死りとりを失敗した失格者を殺す。でもそいつが逃げたり、視界から消えたなら、他の参加者に襲いかかる。でも、あくまで優先するのは失格者なんだ」


「だからさっきも、物音がしたほうに行ったの?」


「はっきりとは分からないけど、そんな気がする」


あれだけ危険な目に遭っていながら、そこまで分析できる冷静さに、改めて感心する。


それに__こんなに距離が近い。


「でも、死り神って誰なんだろう?人間?」


1人目の死り神は、竜ヶ崎先生だった。


椅子が当たれば倒れたし、バールで殺すこともできる。


だから人間のはずなのに、さっき追いかけられたときの人間離れした動きは、この世のものとは思えなかった。


「操られることで、身体能力が高められてるんじゃないか?」


「そんなことが__?」


「なにがあっても不思議じゃないだろ?」


そう言って、新田くんが軽く笑った。


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