死りとりゲーム


どれくらい経っただろう?


賢太の悲鳴も、争っている声も聞こえない。


もし殺されたなら、ゲームが終わる。


反対に、死り神を殺してもゲームは終わるはずだ。


私たちが今この世界に居るということは、ゲームは続いてるんだ。


「あいつが逃げている以上、こっちにも危険が及ぶ」


少し息をついて、狭いこの空間を出て行こうとする新田くんを、思わず掴んで引き止める。


「あのっ、めぐみとはうまくいってるの?」


自分で訊いておいて、びっくりしてしまった。


今、この状況で質問するようなことじゃない。


でも、新田くんはふっと体の力を抜いて答えてくれたんだ。


「うまく、いってるかな?」


「そう。それなら良かった。なんか、いろんなことがあったし」


「でもあいつ、田辺のことも心配してたよ。できるだけ力になってやってほしいって」


その言葉は、死り神の鎌より鋭かった。


私の心の奥深くに、ぶすりと突き刺さる。


私なら、2度と会わないように釘をさすだろう。もしかしたら、取られるかもしれないと気が気じゃない。


でもめぐみは、逆だ。


それは、2人が強く結びついている証拠じゃないか。


私なんて、入り込む余地がない。


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