死りとりゲーム


「ね、か」


ラストの新田くんが【ね】から始まる物を見つけたらクリアだ。


賢太もきっと、死にたくないのだろう。


1人で死り神を相手するのは、無理がある。


このまま、おとなしくしていてほしいけど__。


新田くんはポケットからなにかを取り出した。


握ったまま拳を突き出して「ネックレス」と開く。


ハート型の銀製ネックレスは、なんだか新田くんのイメージにはなくて。


「プレゼント?」


どうしても気になって尋ねていた。


「あっ、うん。お揃いなんだ」


やや気まずそうに答える。


どうして付けていないのかも知りたかったけど『ゲームクリアです!』という声に邪魔された。


ハイタッチをして、正当にゲームを成功させた喜びを分かち合う。


こうやって、1つずつクリアを重ねていけばいい。


道は遠いし、地味だし、1人ずつしか退会できないけど、こうするしかないんだ。


まずはあと3回クリアすれば、私たちのうちの誰かが退会できる。


逃れられない以上、乗り越えるしかない。


「次もこの調子で頑張ろう!」


「うん!」


新田くんと私は頷きあった。


それを賢太が、冷めた目で見ているとも知らずに。


< 169 / 261 >

この作品をシェア

pagetop