死りとりゲーム
「ね、か」
ラストの新田くんが【ね】から始まる物を見つけたらクリアだ。
賢太もきっと、死にたくないのだろう。
1人で死り神を相手するのは、無理がある。
このまま、おとなしくしていてほしいけど__。
新田くんはポケットからなにかを取り出した。
握ったまま拳を突き出して「ネックレス」と開く。
ハート型の銀製ネックレスは、なんだか新田くんのイメージにはなくて。
「プレゼント?」
どうしても気になって尋ねていた。
「あっ、うん。お揃いなんだ」
やや気まずそうに答える。
どうして付けていないのかも知りたかったけど『ゲームクリアです!』という声に邪魔された。
ハイタッチをして、正当にゲームを成功させた喜びを分かち合う。
こうやって、1つずつクリアを重ねていけばいい。
道は遠いし、地味だし、1人ずつしか退会できないけど、こうするしかないんだ。
まずはあと3回クリアすれば、私たちのうちの誰かが退会できる。
逃れられない以上、乗り越えるしかない。
「次もこの調子で頑張ろう!」
「うん!」
新田くんと私は頷きあった。
それを賢太が、冷めた目で見ているとも知らずに。