死りとりゲーム


学校は完全に休校となっていた。


受験勉強用に、教室が解放されることもなくなったんだ。


立て続けに起きる死亡事件に、学校は危険だと保護者が猛抗議しているという。


とはいえ、私たち子供がおとなしく家で勉強するわけもなく。


図書館には、学級委員やクラスメイトの顔がちらほら見受けられた。


待ち合わせしたわけでもないのに、新田くんの姿を探す。


すぐに見つけたけど、声を掛けずに遠くの席に座る。


「近くに行かないのか?」


いつの間にそばに居たのか、賢太が含み笑いをしている。


理由を知ってて聞いてるんだ。


新田くんは1人じゃなかった。


めぐみと肩を寄せ合って勉強していて__。


「放っておいてよ」


気にせずに椅子に座り、参考書を開く。


「勉強、教えてやってもいいけど?」と隣に座った賢太を睨みつける。


「なんだよ、親切で言ってやってるのに」


「恩着せがましいの」


ふんっと横を向いたけど、賢太が話を変える。


「あっ、あれってネックレスじゃないか?」


「えっ?」


「ほら、お揃いのやつ」


言われなくても、なにを言っているのか分かった。


めぐみの首から、似たようなネックレスがかかっている。


だからなんだ!


腹が立って席を移動しようとしたとき、視界がぐにゃりと歪む。


でも私は、少しだけ嬉しかった。


ゲームの世界だけでも、新田くんを連れ去ることができるから。


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