死りとりゲーム
うそっ。
なんで【る】がくるの⁉︎
「田辺、落ち着け。時間は充分にある」
新田くんにそう言われても、ぱん!と弾かれたように頭の中が真っ白だった。
予期せぬ言葉がきたからだ。
しりとりの鬼門である【る】が、まさか最初にくるなんて__。
ゲームを始めた頃は順番が2番目で、響子が私に【る】を投げることはなかった。
賢太が悠馬を失格させようと、同じ【る】で終わらせていたので、私の中で危険なワードとしてインプットされていたけど、それがゲーム開始の文字になるなんて。
「必ず正解はある」という新田くんの言葉から推測すると、いくつかあるのだろう。
ただ私が思いつかないだけで。
「るあ、るい、るう」
1つずつ試していく。
「ルアー?」
確か釣りをするときに使うはず。でも、釣り部なんてものはない。
『ルーマニア』も『ルビー』もありそうで、無い。
「ル、ルーム!この部屋のこと」
『認められません』
「ルームランナー?ルールブック?」
言葉は思いつくものの、肝心の物が見つからない。
普通のしりとりなら成功しているのに、これは死りとりなんだ。
「る?どうしよう、見つからない!」
制限時間が半分を過ぎたとき、私は教室を飛び出した。