死りとりゲーム
涙が流れる。
「た、たす__」
押し潰されそうな喉から、なんとか声を振り絞った。
殺されそうな私のことを、黙って見ている賢太に。
「ちゃんと頼まないと、聞こえないよ?」
そう言ってにんまりする賢太は、この時間を楽しんでいる。
私が絞め殺されるのを、喜んでいる。
頼む相手を、間違えた。
かといって、新田くんにも助けを求められない。
「た、たな、べ」
うめき声が聞こえるから、命に別状はないだろう。
私が助けないと。
いつも新田くんには助けられてばかりだった。
そして私は今、認めることにしたんだ。
私は、新田くんが好きだ。
だから、私が助ける番なんだ__。
「がっ、っ!」
喉だけじゃなく、肺が熱い。
燃えたぎるように、熱い。
指先に神経を集中し、爪で床を剥ぐようにたぐり寄せる。
こいつをぶちのめす、金づちを。
そのためなら、全部の爪が剥がれたっていい。指の骨が折れたっていい。
掴むんだ、掴め、掴め掴め掴め!
掴んだっ!
半分、放り投げるようにして、死り神の横っ面に金づちをぶつけた。
ぐらっ。
死り神は少し、ほんの少しだけ頭を揺らしただけだ。
押しのけることも、大したダメージを与えることもできない。
でも__それでいい。
ほんのわずか、首を締めている力が緩めばいい。