死りとりゲーム


空気が、変わった。


全ての流れが、賢太に集まっているようで。


お面を被った、賢太に__。


「どういうことだよ?俺が田辺を殺そうと、操られたって、どういうことだよ⁉︎」


立ち上がった刀賀が、賢太に詰め寄る。


なにか不穏なものを感じた私は「だめっ」と引き止めたけど、もう遅かった。


「おい、なにか言えよ!」


賢太の、小柄な肩に手を置いた刀賀。


体格差は歴然で、力ならクラス委員が負けることはない。


でもそれは、あくまで人間として比べるのなら。


だって次の瞬間。


賢太が真一文字に鎌を振った。


胴体と首が切り離され、がくりと胴体が崩れ落ちた、ごろりと首が転がっていく。


人間の力じゃない。


賢太の__ううん、あれは死り神だ。お面を被って死り神になったんだ。


ぎろっ。


死り神が、私を睨む。


鎌を一振りし、刃についた血を落とすとゆっくり近づいてくる。


「ちょ、ちょっと!」


まだ立ち上がることができない。足で床を蹴って後ずさるが__背中が壁についてしまった。


「に、逃げろ!」


肩を押さえた新田くんが、駆けてくる。


死り神になった賢太が鎌を振り上げ、私はぎゅっと目をつぶった。


ごろっ。


首が、転がる音が聞こえた__。


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