死りとりゲーム


『それでは最初の文字は【も】から始めましょう!』


アナウンスとともに、持っていたスマホの画面が切り替わる。


【09:59】


制限時間が表示されるからだ。


前回とは違い、探しやすい文字だった。


同じ失敗は許されない。


死りとりに失敗するということは、誰かが死ぬんだ。


ゲームと無関係な、誰かが__。


できることなら、もう犠牲者を出したくはない。


このまま死りとりをクリアし続けて、1人ずつ全員が退会する。


そうすれば、この地獄のようなゲームは終わるのだから。


だからすぐに『ものさし』を見つけて、賢太に順番を回せばいい。


理科室に行けば人体の『もけい』もあるだろう。


「田辺?」


新田くんが、やや顔をしかめて私の名を呼んだ。


まだ肩が痛むんだ。


できるなら、私がつきっきりで看病してあげたい。


私のせいで負った傷だから、私が面倒をみないといけないのに__。


ふと、新田くんの首から煌めいている光を見つけた。


あれはネックレスだ。


つけるのに抵抗があったみたいなのに、めぐみにせがまれて付けたのか。


時間だけが過ぎていくけど、私の頭はフル回転していた。


私は、分かったんだ。


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