死りとりゲーム


「田辺、落ち着いて考えろ」


3分が経過した頃、新田くんが優しく言ってくれた。


私がテンパって【も】から始まる言葉が思いつかないのだと、そう思ったのだろう。


でも、私の頭は、怖いくらいに冷静だった。


先生から響子、そしてクラス委員。


バラバラだったものが、1つに繋ぎ合わさっている。


間違いない。


あの3人は、ちゃんとした法則にのっとって死り神に選ばれている。


そして私は___次の死り神も【誰か】分かったんだ。


「深呼吸して考えろ」


新田くんは優しい。


優しいけど、その優しさは時に人を傷つける。


何か言うたびに、ネックレスが揺れていた。


『あなたとは釣り合わない』


どこから見てもお似合いの2人。


私が入り込む隙なんて、どこにもなかった。


このゲームを始めるまでは__。


残り時間が半分を過ぎた。


そろそろ、覚悟を決めないといけない。


教室を飛び出した私は、1階の【技術室】に向かう。


それだけで後を追いかけてくる2人は気づいただろう。


私が、死り神と戦おうとしていることに__。


「あっ」と、足を止めた。


技術室はだめだ。


1階だから、また窓から入ってくる恐れがある。


だから私は3階の【調理実習室】に向かうことにした。


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