死りとりゲーム
「じゃーん!」
そう言ってスマホの画面を突き出すのは、村井響子(むらいきょうこ)だ。
響子は昔っから、新しいもの好きで自慢したがる。
てっきり新しいスマホを自慢したいのかと思ったけど?
「なにそれ?しりとりゲーム?」
私と同じく画面を覗き込んでいたのは、クラスメイトの遠藤明香(えんどうあすか)。
私__田辺史恵(たなべふみえ)が加わり、だいたいいつもこの3人でつるんでいた。まぁ、もう高校生になるからバラけちゃうけど。
「なんか面白そうなアプリ見つけたんだよね。やんない?」
「めんどくさそうー」
露骨に嫌な顔をする、明香。
「そんなことないって。でも6人でやらなきゃいけないんだよね」
響子はそう言いながら、教室内を見回している。
「しりとりやるだけ?」
疑問に思った私も尋ねてみたけど「あっ、棚橋!」と響子は聞いちゃいない。
「ん?」と呼ばれた棚橋悠馬(たなはしゆうま)が振り返る。
「しりとりやろうよ」
「マジ、ウザいんですけど?」
悠馬が睨みをきかせるその横で、新田慎也(にったしんや)が微笑んだ。
きゅん。
それだけで、私の胸は高鳴った。