死りとりゲーム


死り神が咳き込んだ。


血を吐いたんだ。


お面の下から、血が滴り落ちてくる。


苦しげな声で、それが女性のものだと分かった。


ひょっとしたら、私の予想は間違っているかもしれない。


死り神を、名前のしりとりで決めるなんて、突拍子もない話だ。


あれはめぐみじゃなく、他の誰かであってほしい。


私は心から、そう祈っていたのに__。


「めぐ、み?」


新田くんが震える声で呟いたのは、わけがあった。


私を助けようと死り神の懐に飛び込んだとき、ローブがはだけて、中からあるものが出てきたんだ。


それは、ネックレスだった。


新田くんとお揃いの、ハート型のネックレス。


「めぐみ!うそだろ⁉︎」


倒れ込んだ死り神を抱きかかえ、新田くんはお面を乱暴に引き剥がした。


顔色がなく、血を吐き出していてもなお、綺麗だと思った。


やっぱり、私の推測は当たっていたんだ。


死り神は、めぐみだった。


「なんで?なんでめぐみが?なんで__?」


どんなときも答えを見失わない新田くんが、誰にともなく問いかけている。


何度も、何度も。


めぐみが死んでしまったあとも、何度も問いかけていた。



< 203 / 261 >

この作品をシェア

pagetop