死りとりゲーム
死り神が咳き込んだ。
血を吐いたんだ。
お面の下から、血が滴り落ちてくる。
苦しげな声で、それが女性のものだと分かった。
ひょっとしたら、私の予想は間違っているかもしれない。
死り神を、名前のしりとりで決めるなんて、突拍子もない話だ。
あれはめぐみじゃなく、他の誰かであってほしい。
私は心から、そう祈っていたのに__。
「めぐ、み?」
新田くんが震える声で呟いたのは、わけがあった。
私を助けようと死り神の懐に飛び込んだとき、ローブがはだけて、中からあるものが出てきたんだ。
それは、ネックレスだった。
新田くんとお揃いの、ハート型のネックレス。
「めぐみ!うそだろ⁉︎」
倒れ込んだ死り神を抱きかかえ、新田くんはお面を乱暴に引き剥がした。
顔色がなく、血を吐き出していてもなお、綺麗だと思った。
やっぱり、私の推測は当たっていたんだ。
死り神は、めぐみだった。
「なんで?なんでめぐみが?なんで__?」
どんなときも答えを見失わない新田くんが、誰にともなく問いかけている。
何度も、何度も。
めぐみが死んでしまったあとも、何度も問いかけていた。