死りとりゲーム
公園は、すでに深い悲しみに包み込まれていた。
私の目の前に、めぐみが立っている。
誰もが憧れる、美しい容姿と自信を持っためぐみは確かに生きていた。
今、この時までは。
「め、めぐみ」
新田くんの目から流れた涙が一筋、頬を伝う。
「慎也、なんで泣いてるの?」
めぐみは気づいていない。
お面を剥がされてからも、ほとんど意識がなかったんだ。
苦しみを覚えていないのは、せめてもの救い?
ううん、そうじゃない。
突然、襲いかかってくる痛みに、今から__。
「ごっ!」
お腹をおさえためぐみが、勢いよく吐血した。
「めぐみ!」
崩れ落ちる恋人を、新田くんが支える。
ゲームと同じ光景が、目の前に広がっていた。
私のせいだ。
私が、めぐみと分かっていながら、わざと死りとりを放棄したから。
私が、殺したようなもの。
「めぐみ!」と名前を呼ぶ新田くんの涙が、めぐみの額に落ちる。
それは、あまりに美しくて。
汚らわしい私が、触れてはいけない類いのものだと思った。
それと同時に、こうも思っていた。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
でもこれで、新田くんは私のものになる。
私だけのものに。